読書感想『線は、僕を描く』砥上 裕將

本の感想

2020年本屋大賞第3位! 2019年王様のブランチBOOK大賞!

本屋大賞にノミネートされた時点で間違いなく読みごたえはあるはず。
そして、王様のブランチBOOK大賞!であれば間違いなく面白いでしょうと確信して読んだこの小説。
題材が今までにない水墨画というところがなんとも新鮮です。

普通に生活している人にはおよそなじみのない水墨画の世界。それはとても繊細で細やかな芸術なのだろうと想像します。

絵を文章で表現するというとてつもなく難解なことが見事に、主人公の心の変化とともにたくさんの美しい言葉で表現されていました。

『いや、まじめというのはね、悪くないけれど、少なくとも自然じゃない』

主人公である青山霜介が水墨画の師匠、篠田湖山に言われた言葉です。
『自然じゃない』なるほど。確かにそうだ。
自然じゃないどころかとても不自然なことなのかもしれないと、本を読む手が止まり考えてしまいました。

まじめであることが正義であり優秀で人として正しいことだと、私は思い込んでいたところがあり、年々生きづらく息苦しさを感じ悩むことが多くなっているところでした。

まじめなことは悪いことではない。でも自然な自分の姿ではない。そのことに主人公の霜介も気が付き自然な自分の感情と向き合い始めます。

この本を読み始めたとき、私も自分自身のまじめすぎな性格に気が付き思い悩んでいました。
まじめなことはもちろん悪いことではありません。まじめな性格で生きてきた自分の好きなところもたくさんあります。
そんな時に心に入り込んできたこのセリフがとても印象に残りました。

正直、水墨画のことは全くわかりません。自分から探して触れ合いに行かないと一生目にすることが無いでしょう。

文章で繊細に水墨画を表現し、どんな絵なのか、その絵を見たときに自分がどんな感情になるのかを想像させてくれる本でした。

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